古川日出男「13」★★★☆☆
2007 / 05 / 25 ( Fri ) 世界で始めて「神」を映像に収めることに成功した男の話。
と言えば、それをどのようにして文章で表現するのかが非常に楽しみでした。 全体は二章構成。 一章目は男が少年だった頃の話。 生まれてから、自分が片目だけの特殊な色盲(←変換できません。今は代わりになんという言葉を使うのでしょうか?)であることに気がつき、「色彩」の世界にのめりこんでいく導入部。そしていまだに石器時代のような生活を続けるアフリカのジャングルからやってきた、黒人の少年との交流。 ここまではすごく面白かった。 星的には4〜5だと思っていたのだが…。 少し話がそれるが、アフリカ人の心の中を描写した小説をはじめて読んだ。土人でもアフロアメリカンでもなく、アフリカ人。本当なのかどうかは知らないが、彼らが白人の呪力(=キリスト教、機械)にどんな思いを込めて白人的な生活をするようになっていくのかを読むのもなかなか面白い。 そして物語は急展開の一章ラストから、それまでとの繋がりが感じられないない二章へ。 男は成人し、南アメリカの奥地で叔父と再会する。が、ここから急展開かつぐだぐだな流れに巻き込まれていく。突如登場するハリウッドの奇才映画監督と、主演女優、世界中でブレイクしたモンスターバンドの元メンバーの三人。彼らが新しい映画を作ろうとしたときに耳にしたのが、「神」を映像化しようとした男のこと。 が、南アメリカでの再会といい、映画を作ろうとする人たちとの出会いと言い、一章でがんばりすぎて気が抜けてしまったのか?と言いたくなるほどのご都合主義。ハリウッドの面々は同じようにかっこよく喋るものだからどれが誰の台詞か読み取りにくい。 一番問題なのは一章でアレだけ丁寧に「神」を描くための下準備をしてきたのに、最終的にはほぼ放置した状態で終わってしまうこと。確かに、「神」を描いたことを文章で表現することも困難だろうが、こんな投げっぱなしな結末はすっきりしない。まるで週間少年誌で中途半端に打ち切られた漫画みたいではないか。 「俺達の戦いはまだ終わってはいない〜END〜」 「○○先生の次回作にご期待ください」 みたいな。 とはいえ、一章の面白さは本物。 一章が星4〜5、二章が1つでトータル3くらい。 結末にこだわらない人なら、一章だけ読んで終わるのもいいかもしれない。
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